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和歌山タイムトリップ

ハナシは日曜日にさかのぼります。





最寄りの駅から、いつもと逆のホームへ。和歌山プチひとり旅。


電車の中では、沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでいました。ひとり旅好きの僕には「あるある」満載でむちゃくちゃ面白い!今ハマってます。




南海「和歌山市」駅に着くと、ホームの真ん中にJR券売機と改札とホームが存在していました。そこで180円の切符を買い、いいタイミングで停車していたJRの電車に乗ります。
よく考えたら南海の改札を出てないんですけど。
システムがよく分からん・・・


ホネホネロックさんのライブを観た後、飯を食おうと思って駅付近を散策。
和歌山ラーメンのこじんまりした感じの店を一軒見つけてそこに入ろうとしたんですが、16時頃という中途半端な時間だったので「準備中」・・・残念。


チェーン店のラーメン屋さんなら開いてたけど、めったに来ない土地に来たのでチェーン店で食べるのもつまらないと思いました。
お腹を鳴らしつつさらに駅の周りをうろついていると、線路沿いに「とんかつ」というのぼりが2本、なんだか申し訳なさそうにかかっている店を見つけました。


(和歌山⇔とんかつ 何もかかってないけど、まぁいいか。)


僕は普通の家のそれみたいな、店の戸をからからと開けのれんをくぐりました。




店の中には、新聞を読んでいるおじいちゃんがカウンターに一人、座っているだけでした。
Gパンにポロシャツで、帽子をかぶっているおじいちゃんは表情が見えないので、新聞を読んでいるのかそれとも座ったまま寝ているのか、とにかく僕に全く気付いていません。
一瞬、ほんとに普通の家に間違って入ってしまったのかな、と思いましたが・・・壁に黄ばんだ紙で、手書きのメニューが沢山貼ってあったのを見てここは店で間違いないのだ、と分かりました。


僕はおじいちゃんを驚かせ過ぎないように、でも開けた時よりは音を立てて、戸を「ガラガラピシャン」と閉めました。


爺「はい?・・・あ、はい・・・いらっしゃいませ。」


僕「とんかつライスを」


爺「はい!?」


僕(大きめの声で)「とんかつライスをください」


爺「あ、はい」



おじいちゃんが自分で厨房に入りました。



不安とわくわくが徐々にふくらんできた僕は一つしかない、あまり綺麗ではないテーブルに腰かけ、少し暑く子バエなどが飛びまくっている店内をきょろきょろと観察し始めました。


壁に並んだメニューをあらためて見てみると、その安さに驚きました。


「ライス 百五十円」「玉子焼き 二百円」「うどん 二百円」


(据え置き価格にも、ほどがあるやろ)


500円するとんかつはメニューの中では高い方です。のぼりもとんかつだけ出しているし、看板メニューというやつなのか。


そして額縁に入った、飲食店ならどこにでもあるアレがあるのに気付きました。
おじいちゃんの名前、生年月日、そして調理師の資格を有する、といった内容が書いてあるやつです。


一瞬ホッとしましたが、おじいちゃんが昭和六年生まれだった事が判明し、また不安とわくわくが盛り返し、倍増してきました。


おじいちゃんは調理中も「アレ?・・・ああ。」といった、イケてない独り言をずっと発していましたが、それ以外は何の音も無い、とても静かな店内でした。


僕はだんだん昭和にまぎれこんでしまったかのような、奇妙な感覚に襲われました。
テーブルの横に高く積んであった、明らかに新しくなさそうな雑誌を一冊、手に取りました。
「週刊現代」でした。
裏表紙の下に小さく「2005年11月○○日刊行」と書いてありました。


(ま、ギリギリ「現代」やな。)




15分くらい待った頃でしょうか。
お皿にのったとんかつが無事僕のテーブルに登場しました。











とんかつ


(おおお、ちゃんとでてきたぞ!?)


ただ注文したものが出てきただけで、なぜか一安心。


爺「ライス、もう少し待ってくださいね・・・ええと・・・アレ?・・・ふくしん、ふくしん・・・ここかな?いや、これはサラダ・・・ふくしん、あれ~?ふくしん・・・」




(ふくしんって、福神漬けの事か?)


僕「福神漬けやったら、もういいよ?」


おじいちゃんは聞こえてるのか聞こえてないのか、「ふくしん」を引き続き探した後「・・・せや、ここやここや」と言い、(やはり)福神漬け付きのライスが運ばれてきました。




強制的に「おじいちゃんターン」が続きます。


爺「お待たせしてすみません。・・・あ、お水、いれますね。・・・はい、お水どうぞ。・・・これ、今日の朝刊です。夕刊は今日はありません。・・・あ、クーラーいれますね。はいクーラー入りました。・・・すみませんね・・・」


そう言った後、クーラーから冷風が出だしたのが寒かったらしく、そのタイミングで初めて割烹着を拾い上げて着たのには笑いをこらえきれませんでした。









腹ペコだったのと、この調理師としてギリギリなおじいちゃんを無意識にフォローする気持ちがあったせいかもしれませんが、とんかつはかなり美味しく感じられました。


僕「ごちそうさま」


爺「・・・あ!?はい、ありがとうございます。六百五十円になります。」



おつりをちゃんともらえました。


爺「ありがとうございました。・・・あ、お水は、もう結構ですか?」


僕「(笑)いいです。ありがとう。」





のれんをくぐるとまた外の、現代らしい世界・・・車の走行音やら何やらが入り混じった雑音の世界に、戻りました。






5メートル歩いて振り返ると、店の戸がまだ開いていました。


10メートル歩いて振り返ると、おじいちゃんが何故か顔だけ出していて僕と目が合いました。二人とも会釈をするでもなく、僕は前に向き直り歩き続けました。


15メートル歩いて振り返ると、おじいちゃんの姿は見えませんでした。








(おわり)





テーマ : 徒然日記
ジャンル : 日記

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非公開コメント

ぶらっと旅日記-和歌山編ですね~v-211
ほんと読んでても昭和にタイムスリップしたみたいで不思議な気分でおもしろかったです~v-243
どこ行ってもチェーンの店ばかりが増えて
その土地らしさが無くなって行くなか、
こういう味のあるお店ってなかなか巡り会えないですよね~v-86
お爺ちゃんのギリギリぶりはちょっと不安でしたが
なんかほのぼの~
いいなあ。プチひとり旅!

おもしろかったです。短編小説みたいな感覚で読みました。
なんか懐かしいようなイイ体験ですね♪

>reiさん
感想ありがとう~!
チェーン店も、手堅くまずまず美味しいものが食べれる安心感がありますもんね。
でもこういうすんごいお店も、ツブれずに頑張ってほしいです!100歳まで頑張れじいちゃん!!!
友達ととか、デートとかではやっぱりこういうお店にチャレンジで入りにくいですからね。ひとり旅バンザイ!!
こんな風に、一人の楽しみを覚えてしまうと、ある意味危険です(笑)みなさんご注意を^^


>やまださん
おもしろかったですか~。ありがとう!そう言ってもらえると、丁寧に書いた甲斐があって嬉しいよ!!
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音楽、飲み食い、旅、変形するものが好き。 the pillowsのコピーバンド「ピロフェイク」にてドラムス担当。 ボルダリング、フットサル、ビリヤード、麻雀、ぷよぷよ、テニスなどもします。 初めて来られた方は、このすぐ下↓のメニューから興味のある記事だけを読まれる方がいいと思います。
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